テニスを始めたばかりの頃、ダブルスの試合に出ると「とにかく飛んできたボールを必死に返す」「空いているスペースに全力で走る」だけで精一杯になってしまいませんか?
「一生懸命プレーしているのに、なぜか決まらない」
「相手に振り回されてばかりで疲れてしまう」
もしそう感じているなら、それはあなたが「頑張っていない」からではなく、ダブルス特有の「考え方」を知らないだけかもしれません。
ダブルスはシングルスの延長ではなく、全く別の競技と言ってもいいほど戦略が重要です。今回は、がむしゃらなプレーを卒業し、ダブルスを「戦略的」に楽しむための第一歩を整理してお伝えします。
1. ダブルスは「陣取り合戦」である
シングルスは「コート全体を一人で守る」競技ですが、ダブルスは「二人で一つの壁を作る」競技です。
一番もったいないのは、二人の間にポッカリと大きな穴(オープンコート)が開いてしまうこと。自分がボールを打っていない時でも、「相方の動きに合わせて、自分も動いて穴を埋める」という意識を持つだけで、相手は途端に打ち場を失います。
イメージは、ペアと自分の体が「一本の紐」で繋がっている感覚です。相方が右に寄ったら自分も右へ、相方が下がったら自分も少しケアをする。この連動こそがダブルス戦略の土台になります。
2. 初心者がまず覚えるべき「3つの鉄則」
戦略といっても、難しいフォーメーションを覚える必要はありません。まずは次の3つだけ意識してみましょう。
① 迷ったら「センター」に打つ(センターセオリー)
初心者のうちは、ついついコートの端(サイドライン際)を狙いたくなりますが、これはリスクが高いです。
一番効果的なのは、相手ペアのちょうど真ん中(センター)に打つこと。
センターに打つと、
相手同士が「どっちが取る?」とお見合いする
相手の返球角度を限定させ、自分たちが守りやすくなる
ネットの高さが一番低い場所を通るので、ミスが減る
という、いいこと尽くしの「魔法のコース」なんです。
② ポジショニング:アレー(サイドの道)を空けすぎない
前衛に立っている時、「どこに立てばいいか分からない」という声をよく聞きます。
基本は、「サイドライン(アレー)を抜かれないギリギリの場所」に立ち、相手にプレッシャーをかけること。あまりにセンターに寄りすぎると、横を簡単に抜かれてしまいます。まずは自分のサイドをしっかり守るという安心感が、ペアの思い切ったプレーを引き出します。
③ 前衛は「立っているだけ」で攻撃になる
ダブルスの前衛は、ボールを打つことだけが仕事ではありません。
そこに立って、チョロチョロと動いたり、ラケットを構えて「いつでもポーチに出るぞ!」というオーラを出すだけで、相手はプレッシャーを感じてミスをしてくれます。
「打たずに勝つ」。これこそがダブルスの醍醐味です。
3. 最強の戦略は「コミュニケーション」
どんなに素晴らしい戦術よりも強力なのが、ペアとの声出しです。
真ん中に来たボールに「まかせた!」「オーライ!」
ペアがナイスショットを打ったら「ナイス!」
ミスをしても「ドンマイ!次いきましょう」
これだけで、二人の連動性は劇的に高まります。お見合いや衝突といった「もったいない失点」を防ぐだけでなく、メンタル面でも戦略的に優位に立てるのです。
最後に:一つずつ、試してみよう
一度に全部をやろうとする必要はありません。
次の練習や試合では、「今日は全部センターを狙ってみよう」とか「一回だけポーチに出るフリをしてみよう」といった小さな目標を立ててみてください。
「なんとなく動く」から「意図を持って動く」へ。
その第一歩を踏み出した時、テニスのダブルスは今まで以上に奥深く、最高に楽しいゲームに変わるはずです!

